企業間販売促進業務の電子化に関する研究
1.研究の背景
企業間の商取引の最上部には販売促進業務と呼ばれる、供給企業から購買企業への商品の提供や売り込み、 それらによって発生する商談といった業務が存在する。販売促進業務を電子化する方法として、 供給企業からの商品提案の提示や購買企業からの商品の発注をインターネットにより電子化した 「販売促進システム」と呼ばれるシステムの構築が行われている。
しかしながら、購買企業ごとに推奨商品提案をカスタマイズするには従来セールスマンがもつ ノウハウを組み込む必要があるため、業務の完全な電子化は困難である。
2.これまでの研究成果
従来の販売促進業務では、供給企業がもつ標準的な商品の組み合わせの提案(標準提案)を セールスマンが購買企業ごとにカスタマイズを行い購買企業ごとの提案(個別提案)を作成する。 そして、購買企業の担当者との商談において、この提案に基づいて購入する商品を決定する。 したがって、購買企業に適した個別提案を作成することは、商談を短時間に終わらせるだけでなく、 より多くの商品発注を獲得する効果が期待できる。
本研究では購買企業に応じた商品提案方法として、商品提案自動作成システムを構築した。 このシステムはユーザーに応じて標準提案を修正し、販売が見込める商品を追加する方法により 小売店舗ごとの個別提案を作成するシステムである。 また、作成された個別提案が本当に妥当な提案なのかを判断する基準を求めるために、 商品の販売実績をシミュレートするシステムを構築した。
このシステムにより商品提案自動作成システムの有効性が確認できただけでなく、 販売結果をもとに商品提案の変更が可能になった。 商品提案自動作成システムはサーブレット技術を用いたJava言語により作成されており、 Webブラウザを介して情報のやりとりを行う。
商品提案自動作成システム
3.今後の研究内容
本研究では商品提案自動作成システムの枠組みを利用し、より優れた商品の組み合わせを求め、 それを個別推奨商品提案とする方法を検討する。具体的には、商品データを記号に置き換え、 遺伝的アルゴリズムを利用して最適な商品の組み合わせを求める。 遺伝的アルゴリズムで求めた商品提案を評価するために仮想的な商品購入を行うシミュレーションシステムを利用する。 その販売結果に基づいて商品提案を修正する枠組みを構築する。